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味のある漫才とは何か

このあいだ、M-1をなんとなく眺めていたらハッとすることがありました。
2002年フットボールアワーへの中田カウス師匠のコメント「照れながら何でもやってしまうという味がある」。
当初は意味が分からなかったのですが、今になって飲み込めたような気がします。


演芸を行う者にとって「照れ」や「恥」は本来抱いてはならない感情です。
恥ずかしがりながらのボケツッコミほど寒いものはありません。
当時のフットボールアワーは、特にボケにおいてこの照れがギリギリ残っていたのです。
それが演技で隠し通せるレベルだったために漫才に支障は出ませんでした。

カウス師匠は一目でそれを見抜いていました。
しかし、本来マイナスになり得るその要素が完璧な台本と間で演じられる漫才において、「味」という形でプラスになっていることも同時に感じていたはずです。
しばしば柔軟性に欠け機械的になりやすいコント漫才において、それが人間味を演出する良い手段として機能していたということもあるでしょう。


考えてみればここ最近、「味のある」漫才を見ていない気がします。
人間性をうまく醸し出し、漫才において本来は不利となるような機構を逆手にとり、客を煙に巻くような漫才。
そういうものが求められているのかもしれません。

実際、当時のフットボールアワーのような味を意図的に作り出すことは無謀と言えるでしょう。
それには、そもそも彼らに匹敵するほどの優秀なネタが必要な上に、かなりのリスクも背負うことになります。
2001年の彼らだって、そこに相当苦しんでいたのです。


しかし、コント漫才の堅さを解消するにあたってこの事例は研究に値するものだと僕は考えます。

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12 : 57 : 18 | お笑い | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑

漫才のオチについて

漫才においてオチという要素は実は軽視されがちです。
それは、オチというパートが必ずしも笑いをとる場ではないという認識が伝統的にあるからです。
しかし、最後の最後に位置するそれが客に与える影響はかなりのものだと考えられます。

その元祖である落語においてオチにおいて求められるのはシャレです。
いかにオシャレに気を利かせるか、客の納得を引き出すかが大事なこと。
それは漫才において主流ではないながらも継承されています。


漫才のオチとはどうあるべきか。
ここで考えるべきは、漫才を締めるときの常套句について。
もうええわ、いいかげんにしろ、やめさせてもらうわ、など。
もちろんここにない変則的なオチもありますが、基本はこのようなツッコミです。
漫才を締めるにはこれらの言葉が必須。
逆に言えば、どんなオチだろうとこういう言葉につなげれば客にストレスを残さずに終わることができるのです。
このポイントがオチを考えるときのよりどころであり、漫才のオチというものは「もうええわ」を軸に多様化してきたとも言えます。

では、「もうええわ」を引き出すにはどんなボケが適しているのか。
注目すべきはこのツッコミは「呆れ」を表現しているということです。
要するに「もう君とはやっとれんわ」と思わせる種類のボケが必要なのです。

そのひとつは、先述した落語流のオチ。
くだらないシャレや脱力感の湧くユーモアで聞き手をからかい呆れさせるものです。
このオチのポイントは、他のボケとのクオリティの落差です。
散々ボケておいて、最後の最後に非常にくだらないボケで終わることで客の力がふっと抜けて余韻に浸れるのが理想。
もちろんオチで最高潮のボケを持ってくるのもアリですが、笑い待ちができない上にツッコミが言葉を重ねにくいし、それまでのボケが吹っ飛んでしまいます。
様式美という意味でもオチはよりくだらないに越したことはないと思います。

もうひとつは本末転倒型のオチ。
わかりやすく言うと話題そのものの否定や議論自体の是非を問うなど、全てを台無しにしてしまうボケです。
これはいわゆるケンカ漫才において最も効果を発揮します。
言い合いがどんどんヒートアップして盛り上がって、ツッコミが詰め寄ったところにボケが一言で全部を無駄にしてしまう瞬間は非常に気持ちのいい満足感が得られます。


現代までに様々に多様化したオチの中でもこの二つは飛びぬけて美しいです。
伝統とか古典とか本来は苦手なのですが、こういう様式美は守られるべきものだと思います。

23 : 51 : 15 | お笑い | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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